株式会社新日本科学 TR事業カンパニー

プレスリリース

2016.05.25

自社開発した経鼻投与基盤技術の研究成果が米国科学誌に掲載されました。

当社が、独自に自社開発した紛体製剤を用いる経鼻製剤基盤技術(以下「本技術」)によるオキシトシン1) 経鼻剤の研究成果(以下「本成果」)が、米国メルク社との共著で、米国科学誌『Pharmaceutical Research』に「Rapid Absorption of Dry-Powder Intranasal Oxytocin」という表題で掲載されましたのでお知らせします。

本研究は、本技術を用いてペプチド薬2) であるオキシトシン経鼻剤(以下「本製剤」)の吸収特性や製剤安定性を評価したものです。本製剤を当社が独自開発した手法によりサルの鼻腔内の粘膜に10国際単位から80国際単位の範囲の用量で投与したところ、用量依存的にオキシトシンの吸収が増加し、経鼻投与してわずか5分後には最高血中濃度に到達しました。また、筋肉内注射と比較したバイオアベイラビリティ(生物学的利用率)3) は12%でした。これらの結果から本製剤は速やかで安定した吸収特性を持つことが示唆されました。加えて、粉末製剤という本技術の特徴は、含有されるオキシトシンの保存安定性を高めることも確認され、オキシトシン経鼻剤が既存の注射剤に替わる有用な非注射製剤になり得る可能性が示されました。本技術は、これまでに、主に低分子薬物であるグラニセトロンやゾルミトリプタンに応用され、それらの臨床試験を通じて高い吸収性と有効性が実証されてきました。今回の本成果は、注射以外の方法では投与が困難なペプチド薬においても、本技術が有用であることを示す有益な知見となりました。現在、複数の製薬企業が保有する化合物に本技術を応用する技術評価試験の実施が活発化しております。本成果により、ペプチド薬の経鼻応用に関わる事業化機会も拡大するものと考えております。

【備考】
オキシトシンは、子宮収縮や陣痛促進作用等を有しており、妊婦に対する治療薬として、長年使用されているペプチド薬です。毎日800人の女性が妊娠や出産に関わる合併症で亡くなっています。全世界における妊婦死亡の99%は新興国で起こっており、その死亡の25%は出産後の出血が原因とされています。オキシトシンには、出産時の出血を抑える効果があるものの、注射による治療が未だ困難な新興国においては、オキシトシンを有効に投与できていない状況にあります。その理由は、オキシトシンをはじめとするペプチド薬は消化酵素により分解されやすいことから、経口的に有効に投与するのが難しいためです。このような背景において、オキシトシンをはじめとするペプチド薬について注射に替わる投与方法が望まれている状況にあります。

1) オキシトシン;下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなる。臨床では、子宮収縮薬や陣痛促進薬等として、長年使用されている。最近では、自閉症に対するオキシトシンの有効性に関わる研究も活発に行われている。疾病対策予防センター(CDC)の推計によると、米国の子供の110人に1人が、自閉症スペクトラムを発症しているという(患者は0歳‐21歳で、推定で約73万人)。
2) ペプチド薬;複数のアミノ酸がつながってできた薬であり、消化酵素で容易に分解されてしまうため、注射投与が一般的である。また、熱安定性も低いため、冷蔵保存が一般的である。
3) バイオアベイラビリティ;投与された薬物が、どれだけ全身循環血中に到達し作用するかの指標である。

【原論文情報】
Mikolaj Milewski, Adrian Goodey, Dinah Lee, Eric Rimmer, Robert Saklatvala, Shuzo Koyama, Mic Iwashima, Shunji Haruta
"Rapid Absorption of Dry-Powder Intranasal Oxytocin"
Pharmaceutical Research, 2016, doi: 10.1007/s11095-016-1929-x

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