Nasal Drug Delivery

当社の経鼻投与基盤技術は、
独自の粉末製剤技術と
投与デバイス技術からなる
Combination Technologyです

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経鼻製剤基盤技術のライセンス契約に関するお知らせ - 外傷性脳損傷の治療を目的としたプロゲステロン経鼻剤の技術導出 -

経鼻製剤基盤技術のライセンス契約に関するお知らせ

外傷性脳損傷の治療を目的としたプロゲステロン経鼻剤の技術導出

 株式会社新日本科学(本社:東京都中央区、社長:永田良一、以下「新日本科学」)は、独自の経鼻製剤技術1)を応用したプロゲステロン経鼻剤に関し、Besins Healthcareグループ(本社:ベルギー、CEO:Leslie Grunfeld、以下「Besins Healthcare」)とライセンス契約を締結しましたのでお知らせします。

 

 本契約は、新日本科学が独自開発し、国際特許を有する経鼻製剤基盤技術を応用したプロゲステロンを対象とする粉末経鼻製剤(以下「本製剤」)のライセンス付与です。Besins Healthcareは全世界における本製剤の独占的な開発権および販売権の許諾を受けます。一方、新日本科学は、その対価として契約締結時一時金および開発段階等に応じたマイルストーンならびに上市後には本製剤の売上高に対するロイヤリティーの支払いをBesins Healthcareから受けます。

 

 毎年、世界では約1000万人、米国では約170万人が外傷性脳損傷2)を受傷しており、米国での受傷者のうち5万2千人が死亡し、27万5千人が入院を余儀なくされ、8万人が長期にわたって後遺症に苦しまれています。外傷性脳損傷の発症原因の多くは、交通事故や階段からの転落などの事故とされていますが、米国では軍人が戦時下で爆発により受傷する例も多いとされています。さらに、アメリカンフットボールやサッカーなどのスポーツ選手も頭部への衝撃により外傷性脳損傷になる例が多いとされています(参考文献A, B)。

 

 プロゲステロンは内分泌ホルモンの一つであり、古くから婦人科領域において医薬品として使用されてきました。一方、近年の研究により、プロゲステロンの外傷性脳損傷に対する脳保護作用が期待されております(参考文献C)。Besins Healthcareの関連会社であるBHR Pharma, LLC(本社:米国バージニア州、以下「BHR」)は、外傷性脳損傷を対象にしたプロゲステロン注射剤の開発を行っており、現在、脳保護効果と安全性を検証するためのグローバル第III相臨床試験3)を実施中であります(参考文献D)。

 

 今回、Besins Healthcareは、外傷性脳損傷に対するプロゲステロンの適応を広範囲にカバーすることを目的に、プロゲステロン注射剤の開発に加えて、軍人やスポーツ選手などに多く発生する軽度外傷性脳損傷を主に対象とした非注射型のプロゲステロン製剤として、本製剤の開発に着手することを決定しました。本製剤の開発により、頭部に衝撃を受けた後、迅速かつ簡易な方法で脳の保護処置を行うことが可能となり、脳組織障害の軽減と予後の改善が期待されます。Besins Healthcareでは、本製剤の臨床試験を2013年度内にBHRを通じて開始する予定で、一日も早い上市を目指して開発を進めてまいります。

 

 新日本科学は、1998年から経鼻製剤技術の研究開発を重ねてきており、種々の薬物に応用可能な汎用性のある基盤技術を確立してまいりました。現在、制吐薬のグラニセトロンや偏頭痛薬のゾルミトリプタンの臨床試験成績に加えて、インフルエンザワクチンへの応用についても研究開発を順調に進めております。今回の非注射型プロゲステロン製剤の基盤技術として、当社の経鼻製剤基盤技術がBesins Healthcareに高く評価されたことにより、近い将来、患者さんのQOL向上に大きく貢献することを願っております。また、基幹事業である医薬品の研究開発受託事業(CRO事業)に加えて、本契約に代表されるように知財により収益を上げていく研究開発型のトランスレーショナルリサーチ事業(TR事業)4)にも注力し、より一層の付加価値を付けた質の高い技術と特化したサービスをお客様に提供する体制を整備し、従来のCRO事業に依存した形態から、より深化させた事業形態に発展できるように努力してまいります。

 

 本件が今期の業績に与える影響は、2013年5月14日に発表予定の業績予想に織り込み公表する予定です。

 

以上

【備考】

1)経鼻製剤基盤技術;新日本科学が独自開発して国際特許を有する技術で、薬物の鼻粘膜からの吸収を著しく高める粉末の経鼻製剤処方です。本技術は、種々の薬物に応用可能な汎用性のある基盤技術であり、これまでに複数の臨床試験を実施しており、当該試験条件化における安全性と有効性が実証されています。

技術紹介ホームページ: http://www.snbl-nds.co.jp/jp/

 

2)外傷性脳損傷;頭部に物理的な衝撃が加わり起こる脳損傷です。一時的にまたは恒久的に脳機能を障害し、高次脳機能障害に至った場合は、記憶力や注意力の低下、人格形成やコミュニケーション能力に問題が生じるほか、四股の麻痺や死にも至り、社会的に大きな問題となっています。高次脳機能障害を持つ患者さんのなかには、外見上は健常人と何ら変わりはありませんが、社会適応性が損なわれるために通常の生活ができずに苦しんでおられる方も多くおられます。

 

3)グローバル第?相臨床試験;医薬品として承認を得るための最終段階となる大規模な臨床試験で、複数の国にまたがって同時進行で行う臨床試験をいいます。一般に数百例から数千例規模の患者さんに被験者となっていただいて、薬剤の有効性や安全性等の確認を行います。

 

4)トランスレーショナルリサーチ事業;医療につながる基礎研究成果を実用化させる事業のことです。新日本科学は、自社が有する前臨床試験施設や臨床試験施設を活用して、基礎技術の付加価値や開発ステージを高めて、製薬企業へのライセンス付与を行うことを目的とした事業をトランスレーショナルリサーチ事業(TR事業)と称しています。

【参考文献】

A) The impact of traumatic brain injuries: a global perspective. NeuroRehabilitation. 2007; 22(5)341-53.

B) Traumatic Brain Injury in the United States: A Report to Congress (1999).

C) Progesterone as a neuroprotective factor in traumatic and ischemic brain injury. Prog Brain Res. 2009; 175:219-37.

D) ClinicalTrials.gov. US NIH. (http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01143064).