Nasal Drug Delivery

当社の経鼻投与基盤技術は、
独自の粉末製剤技術と
投与デバイス技術からなる
Combination Technologyです

Expertise in Nasal Delivery

3D Nasal Cast Model

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子宮頸がん発症予防のためのワクチン経鼻製剤評価 に関する契約締結のお知らせ

 株式会社新日本科学(本社:東京都中央区、社長:永田良一、以下「当社」)は、ISA Therapeutics, B.V.1)(本社:オランダ、CEO:Ronald Loggers、以下「ISA社」)から子宮頸がん治療薬(開発名:ISA101)の提供を受けて、当社が有する独自の経鼻投与基盤技術2)をISA101に応用した、子宮頸がん発症予防のためのワクチン経鼻製剤開発に関する契約を平成27年3月3日付で締結いたしましたので、お知らせいたします。

 

 当社は、これまでに同経鼻投与基盤技術を低分子化合物やペプチド3)に応用した経鼻製剤の研究開発を通じて、その有用性を明らかにしてきました。その応用範囲は、さらにワクチンにも拡大しており、既に、インフルエンザワクチン経鼻製剤(TR-Flu)4)の研究に鋭意注力している状況にあります。今回は、ワクチン経鼻製剤に関わる技術をさらに拡大推進するべく、子宮頸がん発症予防のためのワクチン経鼻製剤について検討試験を実施する運びとなりました。

 

 子宮頸がんは、主にヒトパピローマウイルス(以下「HPV」)5)による感染で発症します。HPVは、女性が羅患するがんの中で、米国では乳がんに次いで2番目に多く、日本では年間約10,000人が子宮頸がんと診断され、毎年約2,700人が亡くなっております。HPVは感染後の潜伏期間が長く、10年以上経っても発症しないことがあるため、感染そのものの予防だけでなく、感染後の発症予防及び治療に向けた薬剤開発が強く求められております。

 

 ISA101は、ISA社の独自研究に基づいて創製されたペプチドを含む薬剤であり、HPV感染によって引き起こされた進行がん及び再発したがんの治療薬として注射剤の開発が進んでおります。既にISA社は、子宮頸がん及び数種類の腫瘍を標的としたISA101注射剤に関わる複数の臨床試験をオランダ及びベルギーで実施しております。

 

 当社は、ISA101経鼻製剤による子宮頸部組織のがん化発症予防効果を検証するために、第一段階として、動物を用いた検討試験を行い、経鼻投与による子宮頸部への抗原特異的な免疫誘導に関する基礎データを収集する予定です。

 

 なお、本件が当社グループの今期の業績に及ぼす影響は現段階では軽微であります。

 

以 上

【用語説明】

1) ISA Therapeutics B.V.; オランダ ライデン大学メディカルセンター Cornelis JM Melief博士(ISAのChief Scientific Officer)の研究開発成果を中心に2004年に設立されたISA Pharmaceuticals B.V.の開発子会社です。ISA社は、独自の合成長鎖ペプチドを用いて、がん及び持続性感染症に対する免疫治療剤開発に注力している企業です。会社ホームページ: http://www.isa-pharma.com/

 

2) 経鼻投与基盤技術; 新日本科学が独自開発している技術で、鼻粘膜からの薬剤吸収を著しく高める粉末の経鼻製剤処方と、その経鼻製剤を効率よく、かつ簡便に投与できる経鼻投与デバイスからなります。本技術は、種々の薬物やワクチンに応用可能な汎用性のある基盤技術であり、これまでに複数の臨床試験を実施しており、当該試験条件下における安全性及び有効性が実証されております。経鼻投与基盤技術紹介ホームページ: http://www.snbl-nds.co.jp/jp/

 

3) ペプチド; アミノ酸が数個から数十個つながった構造を有しており、ホルモン作用や神経伝達作用等の様々な生理活性作用を持っております。

 

4) TR-Flu; 新日本科学の経鼻投与基盤技術を応用したインフルエンザワクチン経鼻製剤です。インフルエンザワクチン抗原液をその活性が損なうことなく粉末化する技術を新たに開発し、その経鼻製剤をカニクイザルに経鼻投与した試験において、注射剤と同様に重症化を予防する血中抗体が高まることに加え、鼻腔にて感染自体の防御に働くとされる粘膜抗体を誘導することを確認しております。

 

5) ヒトパピローマウイルス(HPV); HPVは主に性交渉により感染することが知られており、皮膚の接触による感染も含めて女性の約80 %が知らない間に感染しております。HPVには100以上の遺伝子型があり、ハイリスク型HPVというものが子宮頸がんの原因と考えられ、ローリスク型HPVは尖圭コンジローマ(外陰部にできるいぼ)などの原因になります。ハイリスク型及びローリスク型のほとんどが一過性の感染で、その人の免疫力で自然に排除されますが、1~2 %の感染者では上皮内腫瘍を発症し、適切な治療がされなければそのうち30%で、治療を行えば0.2~0.3 %の確率で子宮頸がんを発症いたします。